明石さんへ
「この音符は何拍ですか?」と聞いたら、必ず「二泊三日」と言って笑わせてくれた、明石さん。
「堺市金岡町 三上ピアノ」という住所だけで、旅行先のイタリアから絵葉書を送ってくれた明石さん。その絵葉書が、無事届いたことを知って、一番驚いていた明石さん。
「オペラを聴きにいってきます」と、突然ウイーンに飛んだ明石さん。
そこで、なぜかイギリスのオックスフォード大のTシャツを買ってきてくれた明石さん。
アレッサンドリーニのオルガンコンサートで、開演のベルと同時に寝て、終演の拍手で起きた明石さん。
半年間で、乙女の祈り(簡単アレンジ)が弾けるようになった明石さん。
でもその後の9年間、まったく練習しなかった明石さん。
明石さん、私はあなたから、大人の人を指導することの難しさを学びました。でも、その裏側に、難しさの倍以上の楽しさがあることを学びました。
明石さん、あなたは、私が『趣味のピアノ学習者が満足するピアノ指導はなにか』ということを考える機会をくれた、最初の方です。
私はあなたから、かけがえのない人生の目標をもらいました。
ありがとう、明石さん。さようなら。