6.レッスン料を小銭でくれたFさん
Fさんは、真面目な30代の男性でした。体験レッスンに来られたとき、「来週日曜日に音楽会をします」と話したら、こっそり聴きにきてくれたりもしました。レッスンが始まってからも、わからないことがあればすぐに電話をくれたりもしました。
そんなある日、Fさんから、「通りがかったので月謝をポストにいれておきました」と電話がありました。現金をポストに入れるというのは、あまり良いこととは言えません。私が「今月分のお月謝はきちんと頂いていますよ」というと、「それは来月分です」とおっしゃいました。
それでポストのなかを見てみると、1円玉と5円玉がびっしり入ったビニール袋がありました。Fさんはお月謝を小銭でくださったのです。小銭といえども、お金です。ありがたく頂戴することにしました。ただ、ポストから小銭の詰まった袋を出そうとしたとき、袋が破れ、地面に小銭が散乱しました。私は半分泣きながら地面に散らばった小銭を集めました。21円足りませんでした。
その後、数回のレッスンを経て、Fさんはいつのまにか来られなくなりましたが、今でも小銭をみるとFさんを思い出します。
【教訓6】月謝は小銭よりお札がよい。